痴呆症



(Q1)最近物忘れが多くなりましたが、ボケの前ぶれでしょうか?
(Q2)物忘れと認知症(痴呆)

(Q1)最近物忘れが多くなりましたが、ボケの前ぶれでしょうか?

(A1)なかなか難しい質問ですが、最近読んだ本「ボケない生き方革命」(金子満雄著)の184ページに「物忘れはボケの始まりではない」と書いて有ります。その本に書いてあることを要約しますと、物忘れは側頭葉の内則に有る海馬の機能低下で起こり、痴呆は前頭葉の一部の前頭前野の障害で起こるものです。手術等で海馬の障害が起きた場合、記銘力の低下がおこりますが、こまめにメモを取ることで今まで通りの普通の生活が出来るし、ボケ症状は出ないのです。では前頭前野とは何でしょう。脳の諸機能を統括している脳の部分で、人間にのみ発達しているので、前頭前野のもともとない犬や猫には痴呆は起きません。この海馬は虚血(血液の足りない状態)に弱いので、年令と伴に脳血流量が低下するにつれてその働きが低下し、記憶力が低下するということになります。ですから物忘れは年令と伴に多くなるわけで、誰にでも程度の差はあっても、見られることなのです。また比較的若い人に物忘れが多くなった時には、物事に対する集中力が低下した状態ではないかと考えます。例えば心配事や悩みやストレスが多いと、ついそのことに気を取られて、人の言うことを上の空で聞いていたり、鍵などポイと投げ捨てて置くものです。このような場合も決してボケではありません。以上のことから、物忘れ=ボケではありませんが、アルツハイマー病の初期症状は物忘れですので、物忘れが気になる方は一度当院の「物忘れ外来」を受診して下さい。   
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